フィルムアート社は会社創立の1968年に雑誌『季刊フィルム』を刊行して以降、この50年間で540点を超える書籍(や雑誌)を世に送り出してきました。フィルムアート社の本と読者をつないでくださっている全国の目利きの書店員さんに、オススメのフィルムアート社の本を紹介していただく本連載。今回はヴィレッジヴァンガード 下北沢店の長谷川朗さんにオススメ本を紹介していただきました。
私の好きなフィルムアート社の本
フィルムアート社さんの本はヴィレヴァン店員の感覚で言うと、「ちょっとかたい本気系の映画の本。面というより刺しで棚に置いて、おっ、この棚なかなかやるなの雰囲気を出す縁の下の力持ち」みたいな印象でしょうか。なので置いてない店舗も。
では下北沢には今どれくらいあるんだろうか?と、数えてみたところ…なんと映画演劇の棚の26%! 4冊に1冊がフィルムアート社さん! 思ったよりかなり割合多い。多すぎたかな。笑。
今回は映画関連の本に絞って、その中でも面陳でも相性が合うし、個人的にも好きという本を2冊ご紹介。ちなみに映画が好きな僕ですが、小難しい映画評論にはあまり興味がないただのミーハー。そんなミーハーな僕が、というのもミソ。
島田一志=編著|松本零士、上條淳士、楠本まき、浅田弘幸、五十嵐大介、松本次郎、武富健治、山本美希、諫山創=インタビュー
B6判・並製|320頁|ISBN 978-4-8459-1451-7|定価:1,800円+税
1冊目に紹介するのは『漫画家、映画を語る。』。誰々が好きな映画とかってやはり気になりますよね。そんな中でもあまり目にすることがなかった著名な漫画家が好きな映画を語り、それが自身の作品にどんな影響を与えたのかということを記した一冊。ビジュアルとストーリーという点で共通点は多い!
作家のセレクトもよく、松本零士から五十嵐大介、諌山創まで。映画、漫画が好きなファンにはもちろん、漫画家を目指す人にも創作のヒントが溢れている。他の作家さんのも読みたいのでシリーズ化お願いしますー。
南波克行=編著|執筆者=斎藤環、長谷川町蔵、山崎まどか、西田博至
四六判|232頁|定価 1,800円+税|ISBN 978-4-8459-1323-7
2冊目は『トム・クルーズ キャリア、人生、学ぶ力』。なぜフィルムアート社がトム・クルーズ?と思った人も多いでしょう。いやいやフィルムアート社が出すからいいんです。世間的にトム・クルーズって、売れっ子俳優でプレイボーイみたいなイケイケなイメージでしょうが、30年近くトップスターをキープしているんです。実はすごく自分のことを分かってて、戦略的にキャリアを積んでいる。
いまではジャッキー・チェンみたいになってミッションインポッシブルシリーズやってたり、錚々たる監督たちとの仕事、そして作品選び。やはりマグノリアでのあの役でのオスカーはでかい! 自分という商品をどう扱えばより価値を生み出せるかを分かっている。そんな彼の仕事術を読めばトムのことが好きになること間違い無し!