愛ちゃんがヨーグルトに飽きた。
幽霊たちはまだ腸活していた。みんなでリビングでヨーグルトを浮かせながら、ときどきキッチンにいるわたしと愛ちゃんの様子を覗きにくる。
「焼く前のハンバーグってたましいみたいなんだよね~」
と愛ちゃんはいいながら、灰ピンク色のそれを手のひらのあいだで泳がせてかたちを整えていく。
「たましい?」
愛ちゃんは一度ハマったたべものは飽きるまでたべ続ける。大量のひき肉とたまねぎとパン粉とたまごを買って、大量のハンバーグのたねを作っている。ハンバーグパーティをこれからするのだ。
「たましいがひとつ、たましいがふたつ、たましいがみっつ、たましいがよっつ、たましいがいつつ……」
「こわいからやめてって」
「あ」
ピロリン! と通知がきた。
これからいくというまるみちゃんからの連絡で、その一時間後にやってきたまるみちゃんは「なんか、すごく長い夢を見ていた気がする」といった。
「たましいがよんじゅう、たましいがよんじゅういち、たましいがよんじゅうに、たましいがよんじゅうさん……」
「いや業者か!」
まるみちゃんがツッコんで、めちゃめちゃ楽しそうに笑った。
それから、口がひとりでに動くように、どこかで聞いたことのある曲を歌った。