1960年、パリ郊外のシュレンヌ出身。先見的でミステリアス、カラックスは監督としての卓越した演出力を示して、過去35年のフランス映画界で最も美しい瞬間の数々を生み出してきた。モノクロで撮られた『ボーイ・ミーツ・ガール』(1984年)で長編映画監督デビュー。つづく『汚れた血』(1986年)はリズムと愛への賛歌であり、カラックスはこの作品で激しい感情表現のスタイルを確立し、初めて国際的な成功をおさめた。1991年には、最も野心的な作品『ポンヌフの恋人』を発表する。8年の沈黙の後、『ポーラX』(1999年)でカラックスは再びカンヌ映画祭のコンペティションに戻ってきた。現実に魔法をかけ、日常の世界にファンタジーをもちこんだ迷宮的な映画体験である『ホーリー・モーターズ』(2012年)で、再度カンヌのコンペティションに返り咲く。2021年、自身初の英語作品にしてミュージカル映画である『アネット』が第74回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品され、監督賞を受賞。